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<目次>
■ 労働保険とは
●労働保険の適用と加入手続き
●労災保険
◆労災保険の対象労働者
◆令和5年度労災保険率表等
◆労災保険の特別加入
●雇用保険
◆雇用保険の対象労働者
◆令和5年度改正雇用保険率表等
■ 労働保険事務組合制度
■労働保険とは
労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険をまとめた総称であり、業務上災害と通勤途上災害による傷病等に対する補償(労災保険)、失業した場合の給付(雇用保険)等を行う制度です。
保険給付は、両保険制度で個別に行われていますが、保険料の徴収等については労働保険として、原則的に一体のものとして取り扱われています。
労働保険は、法人・個人を問わず労働者を一人でも雇っている事業主は必ず加入することが法律で義務付けられています。この「労働者」とは、パート、アルバイトも含みます。
労災保険
労働者が業務上の災害や通勤による災害を受けた場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行うものです。また、労働者の福祉の増進を図るための事業も行われています。 |
雇用保険
事業主の方には、従業員の採用、失業の予防等の措置に対し、一定の要件を満たすと各種助成金等が支給されます。また、従業員の方が失業された場合、失業給付金等が支払われます。 |
●労働保険の適用と加入手続き
労働保険に加入するには、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又はハローワーク(公共職業安定所)に提出します。そして、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度末までの労働者に支払う賃金の見込み額に保険料率を乗じて得た額)を概算保険料として申告・納付します。
◎ 雇用保険に加入する場合は、この他に「雇用保険適用事業所設置届」及び「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄のハローワーク(公共職業安定所)に提出しなければなりません。
労働保険の適用の範囲、方法は次のように区分されています。
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当然適用事業とは… |
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一人でも労働者を雇用して、事業が行われている限り、当然に労災保険・雇用保険の保険関係が成立する事業をいいます。 |
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暫定任意適用事業とは… |
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農林水産の事業のうち、常時使用労働者数が5人未満の個人経営の事業のことをいいます。 なお、労災保険では、農業に限り事業主が特別加入をする場合には、常時使用労働者数が5人未満であっても当然適用事業となります。
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<一元適用事業と二元適用事業>
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一元適用事業とは… |
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労災保険と雇用保険を一つの労働保険の保険関係として取り扱い、保険料の申告・納付等を両保険一本で行うもので、次の二元適用事業以外の事業をいいます。 |
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二元適用事業とは… |
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労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係とを別個に取り扱い、保険料の申告・納付をそれぞれ別々に行う、次の事業が該当します。
1) |
都道府県及び市区町村が行う事業 |
2) |
1)に準ずるものの事業 |
3) |
港湾労働法の適用される港湾の運送事業 |
4) |
農林・水産の事業 |
5) |
建設の事業 |
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●労災保険
◆労災保険の対象労働者
区分 |
労災保険 |
基本的な 考え方 |
常用、日雇、パート、アルバイト、派遣等、名称や 雇用形態にかかわらず、労働の対償として賃金を 受けるすべての者が対象となります。 また、海外派遣者により特別加入の承認を得
ている労働者は別個に申告することとなるので、そ の期間は対象となりません。 |
個々の労働 者の届出 |
労働者ごとの届出は必要ありません。 |
法人の役員 (取締役) の取扱い |
代表権・業務執行権(注1)を有する役員は、労 災保険の対象となりません。
①法人の取締役・理事・無限責任社員等の地 位にある者であっても、法令・定款等の規定に 基づいて業務執行権を有すると認められる者 以外の者で、事実上業務執行権を有する取締
役・理事・代表社員等の指揮監督を受けて労 働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、 原則として「労働者」として取り扱います。
②法令、又は定款の規定により、業務執行権を 有しないと認められる取締役等であっても、取 締役会規則その他内部規則によって、業務 執行権を有する者と認められる者は、「労働
者」として取り扱いません。
③監査役、及び監事は、法令上使用人を兼ねる 事を得ないものとされていますが、事実上一般 の労働者と同様に賃金を得て労働に従事して いる場合は、「労働者」として取り扱います。
※保険料の対象となる賃金は、「役員報酬」の 部分は含まれず、労働者としての「賃金」部分 のみです。 |
事業主と 同居して いる親族 |
同居の親族は、原則としては対象者とはなりま せん。ただし、同居の親族であっても、常時同居 の親族以外の労働者を使用する事業において、 一般事務、又は現場作業等に従事し、かつ次の
条件を満たすものについては、一般に私生活面 での相互協力関係とは別に独立して労働関係 が成立していると見て、対象者となります。具体 的な判断については、以下の要件を満たしている
か否かとなります。
①業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っ ていることが明確であること。
②就労の実態が当該事業場における他の労働 者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われ ていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩 時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及
び支払方法、賃金の締切り及び支払の時期 等について就業規則その他これに準ずるもの に定めるところにより、その管理が他の労働者 と同様になされていること。 |
出向労働者 |
出向労働者が出向先事業組織に組入れられ、 出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事 する場合は、出向元で支払われている賃金も出向 先で支払われている賃金に含めて計算し出向先
で対象労働者として適用してください。 |
派遣労働者 |
出向労働者が出向先事業組織に組入れられ、 出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事 する場合は、出向元で支払われている賃金も出向 先で支払われている賃金に含めて計算し出向先
で対象労働者として適用してください。 |
日雇労働者 |
すべて対象者となります。 |
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◆労働保険事務組合制度
労働保険事務組合とは・・・
厚生労働大臣から労働保険の事務処理を行うことを認可された「中小事業主等の団体」です。
労働保険事務組合として認可を受けている団体には、主に事業協同組合、商工会議所、商工会などがあります。
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事務処理を委託すると次のような利点があります。 |
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労働保険料の申告・納付等の労働保険事務を事業主に代わって処理しますので、事務の手間が省けます。 |
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労働保険料の額にかかわらず3回に分割納付できます。 |
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労災保険に加入することができない事業主や家族従業者なども中小事業主等の特別加入制度により、労災保険に加入することができます。
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委託できる事業主は
常時使用する労働者が、金融・保険・不動産・小売・飲食業にあっては50人、卸売・サービス業(清掃業・火葬業・と畜業・自動車修理業及び機械修理業は除く)にあっては100人、その他の事業にあっては300人以下の事業主となっています。
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労働保険事務組合に事務委託するには
労働保険事務組合に労働保険の事務処理を委託する場合は、まず、「労働保険事務委託書」を労働保険の事務処理を委託しようとする労働保険事務組合に提出します。
委託する際には、団体への入会金・委託手数料が必要となりますので必ずご確認ください。
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